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誰か呼ばなくちゃっ!!
あたしは、全力で走っていた。
誰か!誰か!
一生懸命叫んでも、周りにいる人たちは、見向きもしない。人の通りも多いのに、誰もあたしの声を気にしない。
………そうよね。誰も関わりたくないよね。
あんな、恐そう人達に。
あたしだって、声をかけれない。だって、恐いもの。
でも、でも、誰かお願い!あの人を助けて!
神様っ!あたし、これから良い子になります!人に迷惑かけません!好き嫌いもしません!言われた事も守ります!だから、お願い!
あたしが、走りながら、精一杯、神様に祈った時だった。
「ふぬっ!」
スポンッ!!
掛け声と、何かが穴から抜けた様な音がして、そのモノが、空から降ってきた。
「うむ。着地成功。ぬ?煉はどこだ?」
黄色の毛玉が、キョロキョロと、辺りを見渡した。
空から降ってきたモノ。
あたしの、頭がおかしくなければ、喋る狸だった…………。
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