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しゃんしゃんしゃん
しゃんしゃんしゃん
12月になれば、街にはもうクリスマスムードが漂っていた。
綺麗な色とりどりのライトが光り、赤い服の人達が街頭に立っている。
子供は中年の不法侵入者に何をお願いするのかと悩んでいるし、大人はそんな子供をほほえましく見ていた。
クリスマス。
イエス・キリストの誕生日であるだけなのに、こんなに騒ぎ立てるのは何故だろうと、僕はいつも思っていた。
別に騒がしいのは嫌いではないし、無関心なわけではない。
僕はまだ12歳だ。
中年の不法侵入者だって来てくれる歳。
なのに何で喜んだりしないのかというと…
僕は、〝クリスマス〟を過ごしたことがないからだった。
プレゼントもなく、ケーキもなく、ましてやご馳走も出てこない。
当然といえば当然だ。
だって…
僕の両親は、とても仲が悪かったから…。
僕が母さんに宿ったせいで、二人は結婚しなければならなくなったと言っていた。
『堕ろすなんて嫌よ!私の評判が悪くなったらどうするの!?』
『お前の評判なんかどうでもいいが、それで俺にまでとばっちりがくると堪らないからな!』
そんな二人が上手くいくはずがない。
毎日喧嘩三昧。
誰だよ喧嘩するほど仲が良いって言った奴。
今すぐ僕に謝れ。
そういった事情で、僕は祝い事には無縁だった。
性格はどんどん冷めていくし、クリスマスって何だっけ?って感じだ。
クラスの皆が騒いでたから、今日思い出したんだよな。
と、楽しそうに話すクラスメート達の顔を思い浮かべた。
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