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「あ、あの…」
保健室へ向けて教室をでて少し歩くと、トムを担いでいた二人のうち、髪が長くてお人形さんみたいな感じのなんだか綺麗な人が、心配そうな顔をして話しかけてきた。
「えっと…はじめまして、」
大分痛みも抜けてきた腰を押さえながら、できるだけ笑顔で答える。
「ど、どうも。
はじめまして…えっと、…体の調子が悪いのだから、僕たちだけで安藤君、届けましょうか?」
「ん、いいよ。
元々トムは僕に用があったようですし、少し経てば目も覚めるでしょうから…一緒にいようかと思いまして」
それにしても、あのトムの真剣な顔……
何があったんだろう…
息を切らしながら入って来て、いきなり「無事か?」って…
あんな張り詰めた顔、襲われた時以来だな…
─そんなことを思いながら下を向いて歩みを速めた翔に、
さっき翔に話し掛けた、長い髪を持った彼は何かを考えるように目を向けた。
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