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その直後
突風が少女の背中をたたきつけた。
左手で乱れる髪をおさえつつ、右手を額にあてながらその存在がまた飛び出ださないか吸い込まれていった辺りを凝視した。
(あれは何だったんだろう?)
幻ではなく確かな何かが飛んでいったことを感じとっている自分に、高揚感を押さえきれないでいた。
奇妙なことに恐怖心は一切ない。
(森…)
森の中という事が少しためらいを感じたが、幼い好奇心と不思議な高揚感には勝てなかった。
しぜんと少女は全速力で森に向かって走りだしていた。
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