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誰もいない校舎の影。
その影にこっそりと隠れてみる。
うだるような陽射しを少しでも避けられて少し快適だった。
蝉が鳴く。
自分の命を必死に燃やして鳴いている。
僕はそれを見て少しセンチメンタルになった。
今は楽しい。
すごく楽しいんだ。
だけど
いつかはこんな時も終わるのかな、なんて思ったらなんだか酷く寂しくなって恐くなったんだ。
これからの人生の中で、今の時間はどれくらいの割合なんだろう。
もし、今の時間の何倍もつまらない人生が残っているのなら、
僕は蝉と一緒なんだ。
今というこの短い時間を精一杯がんばってる。
だけど、それが過ぎてしまえば死んだも同然。
青い空は眩しくて思わず目を細めた。
僕はまだここに出てこれてないのかな?
太陽の下に出てこれてないのかな。
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