妄想セブン

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僕は妄想する。 僕に限らず男は皆する。 イメージをする。 ここでは言えないような事をイメージする。 その中で僕は主役で、その場限りのヒーローだ。 僕がそんなどうしようもない妄想をしてる時に世の中は変わってしまった。   『昨晩、中学生の男子が遺書を残し屋上から飛び降り自殺をしました。』 世界は簡単に人を殺す。 僕らを世界が早く行けと急かすからそれに耐え切れずに死んでしまう。 学校でイジメはやめようなんて事言ってるけど、それで無くなれば苦労しないんだよ。 自分達が精一杯対処してますってポーズだろ。   学校のチャイムが退屈に鳴るころ、僕は机にコンパスでメッセージを彫っている。 内容はたいしたことない。 意味も無くS〇Xとか、曲の歌詞を彫ってる。 退屈な授業で俺が暇潰しをしてる頃他の奴らは別の暇潰しをしている。 人間ごみ箱。 一人に向かってゴミを投げ続ける。 頭に当たれば五十点、なんて得点制ではないけど、丸めたプリントや菓子の空き箱などを一人に投げ続ける。 投げ続けられてる奴は楠川美香って奴でクラスでよくいるいわやるどーでもいい奴。 大人しくて無口で暗い。 イジメのかっこうの的だ。僕にとってもどうでもいい奴。 だから僕は気にせず机に何かを彫り続ける。
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