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内密の命であったため、三人の旅立ちは誰に見送られるでもないひっそりとしたものだった。
出発の挨拶を王にすませ、三人は城を後にした。
魔術師と神官という相入れない二人は、会話を交わそうとしない。シュゼがアスカをみると、人見知りの神官はびくりと体を震わせて必死に目線をそらそうとするので、そもそも会話が成り立たないのだが。
お世辞にも良いとは言えない雰囲気のメンバー。王でなくとも、やっていけるのかと不安に思う仲間だ。
「おい。どこに行くんだ?」
「少し行きたいところがありまして。もう一人、連れていきたいんです」
「…………哀れな奴だな。お前に目を付けられるとは」
呆れたようにシュゼが言った。
「彼は自ら望んで加わるんですよ」
反対に、ラムガは楽しそうに笑う。
ぼぅっとアスカはラムガに見惚れていた。
まとまりのない一同は、それでも一応ラムガをリーダーとして纏まっている。文句を言っても、反対はなかった。
昨日、彼にあった場所に向かう。銀の髪と金の瞳をもった少年。必ず来る。確信はあった。
裏道に着くと、やはり彼はいた。不機嫌な表情で、いかにも不満気な態度で腕を組んでいた。
「やぁ。来てくれて嬉しいよ」
笑みを浮かべ近付くラムガに鋭い目で睨みつける。
不本意だ、と体全体で表していた。
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