日常とあたし

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朝起きてからの日課、部屋に供えてある仏壇に手を合わせる。 仏壇に飾られる写真には、仲良く写る三人の姿。 父、母、そして…あたし 「行ってくるね。 お父さん、お母さん!」 仏壇で微笑む両親に手を振って家を出る。 ガチャリ、と鍵を閉め鍵を鞄にと入れる。 アパートであるあたしの家の階段を降り、学校への道のりを目指す。 ここいらであたしの自己紹介でもしておこう。 七瀬 瑠衣(ナナセ ルイ) 現在17歳の現役女子高生だ。 といっても、女性にしては短すぎる髪、オシャレな服なぞ勿論持ってない。 香水、化粧なんて匂いで吐きそうになるし、女子特有の恋愛のロマンやらも持ち合わせていない。 まあ、余計なモノなら1つ持っているが… それは後々。 ーー学校に着いた。 「瑠衣~!」 教室に入るやいなや呼ばれた。向かずとも聞き慣れた親友の声だ。 「おはよ、美紀」 彼女の名前は涼宮 美紀(スズミヤ ミキ)。あたしとは似ても似つかぬ女の子。 実際、同性のあたしから見ても可愛らしく見えるのだから、異性から見たらとてつもなく可愛い筈だ。 あたしは竹刀をロッカー付近に立てかけて美紀の待つ席に着く。 言い忘れたが剣道部所属。 これも例によって後々に… 「瑠衣~、もっと髪伸ばしなよ~! 髪伸ばして化粧して香水つければ絶対可愛いから!!」 彼女はこの説得を毎朝必ずする。美紀から見て、どうやらあたしを可愛くしたいらしいが… 今美紀が言ったどれもがあたしには苦手この上ない。 「いいよ、あたしにゃ似合わない」 「えぇ~」 頬を膨らまして机にうなだれる美紀。 美紀の頭を撫でて慰めていると… 「ーー!!」 いつもの騒音がやってきた。
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