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それから十数分、翔次は夢を見ていた。
初陣を前にして怖じ気付いていた幼少期。
少し気分を変える為に一人で訪れた公園で、奥のベンチに座りながら風に当たっていると、迷子の少女が同じ公園にやってきて、隣に座った。
『ねぇ、君は何処から来たの?名前は何て言うの?私、道に迷っちゃった』
『君は"運命"って信じる?
私は信じたいなぁ、だって夢があるもんね。もし、また君に会えたら………あの…あのね…』
少女は、例え翔次が何も返さなくても一人で楽しげに延々と話し続け、それに対し翔次は心地好ささえ感じ、不思議と徐々に気が楽になっていく。
そこで翔次は、最後に少女と一つの約束を交わした。
『…なら三度目だ…
……あと二回逢ったら…
…一生お前を護ってやる…』
「翔次……寝てる?」
そんな中、修はいつの間にか翔次の隣に座っていた。
しかし何故かその表情は浮かなく、深刻そうな面持ちだった。
実は修は、前日に翔次に"話がある"とここで待ち合わせ、それに対し翔次も"俺もお前に話がある"として、ここでそれを待っていたのだった。
サングラス越しでは起きているのか寝ているのかわかり辛いが、大きな動きも無く修の声にも反応を示さない為、修は一方的に話を始めた。
「…翔次、あのね…聞いてなくてもいいからこれだけ言わせて…」
「……」
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