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昼間から始まった花見が、3次会まで続くとは、誰も予想していなかっただろう。
その日、三島 喜一は桜並木の見える駅で終電を待っていた。
桜が見えるとは言っても、辺りは真っ暗なので、駅のホームの汚い蛍光灯の光でうっすらと見えるだけだったが、三島は桜が好きだったので、ぼ~っと眺めていた。
桜を眺めながら、彼女の事を思った。
明日は早いからもう寝ると、10時半にメールが来ていた。最もその頃三島は、酔っ払っいて、携帯なんて見ていなかったが。
彼女とは高校2年の6月から付き合っていて、もうすぐ4年になる。
就職が無事決まって、仕事に慣れた頃に結婚したいと考えている。
5分ぐらいして三島はふと人の気配に気付いた、三島が今座っているベンチに女が一人座っている、三島は驚きのあまり動揺をかくせなかった。
それは当然で、さっきまで居なかったはずなのだから。しかし女はそこにずっと座っていたかのような態度だった。
その女は本当に綺麗だった。街を歩けば誰もが振り返るだろう。他の女とは違う雰囲気と、誰も持っていないようなオーラを放っていた。
不思議な気分になったが気まずいので目を反らす、携帯を開いてみたが、着信もメールも来ていなかった。携帯を閉じて立ち上がる、もう電車が来る時間だ。
ふと後ろをみるとさっきの女が三島の真後ろに立っていた。三島は少し怖くなった。
さっきから居た用にも思えた。
三島は女を見ないように前を向いたが、やはり気になったので三島は女の様子を伺おうともう一度振り返った瞬間、女が三島にキスをする。
三島は驚く事さえ許されないまま意識を失って、その場に倒れ込んだ……
深い闇、暗い闇、深い深い水の中の用に思えた……すーと沈んで行くような感じ………自分が消えて行くのがわかる、何かが失われていくのがわかる…何かが…なんだ…わからない………ただ、消えて行くのがわかる………
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