笑顔の向こう側

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『で……最近仕事はどうなんだ?』 『まぁボチボチ。たまにムカつく客いるくらいかな。この前なんか客の胸ぐら掴んで散々怒られた』 『自業自得だなそりゃ』 卓志は雄奨と同じ年だが高卒で働いている。 偶然雄奨の学校の系統と同じ仕事に就いているので二人は仕事や学校の話しでも結構ウマが合う。 『ところで彼女とはどうなの?』 雄奨は突然切り出した。 『明智…お前な別れたの知ってて言ってんでしょ?』 雄奨の口元は卓志に気付かれない程度に緩んだ。 『いやぁワリィ。すぐまた作ったかなぁって。でも最近出会い少ないもんねぇ』 『そんなすぐ出来るわけないでしょ。俺は真面目なの。あぁ、出会いないかなぁ』 雄奨はあえて表情を変えずに切り出した。 『じゃあいい出会いの場紹介しますか?』 『…?なんだよ気持ち悪いな』 『なんもねぇよ。さっき出会いがどうのこうのって言ったべ』 『合コンとか不純な出会いは嫌だぞ』 雄奨はそんなの知らねぇとたたみかけた。 『何が不純な出会いだよ。軽いパーティーだよ。それに今回はまともな女の子しかいないらしいぞ』 なんの根拠もないくせに平気でそう言うと卓志の答えを待った。 卓志は暫く黙りそしてこう答えた。 『…明智も来るなら行くよ』
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