~過去・欠片~

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一度話したからといっても、玲子と捺の距離は変わらなかった。 捺は相変わらず一人で本を読んでいるし、玲子も捺に話しかけようともしなかった。 ただ、玲子の中で捺への印象が変わっていた。 体育の時間、玲子は休んでいる捺をちらちらと見た。 捺の言っていた通り、その表情には悔しさや諦めの感情が滲み出ていた。 「きっつい~」 玲子の友人が大きく声を上げた。 「マラソンとかする意味ないって」 友人はぜえぜえと肩で息をしていた。
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