あたしは王女様

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  ━『あ、あの…今からいくから…!』 「10秒以内ね」 そう言って電話を切ると、虚しい機械音だけが耳に残った。 この音、大っ嫌い。 「タカシ、数えな」 「…いち、にぃ…」 「もっとでかい声でだよ。愛しの春奈ちゃんに聞こえるように、ハッキリと!」 どいつもこいつもふざけて。 あたしに逆らったらどうなるか思い知ると良いよ。 そう思いながら周りで騒ぎ立てている奴らに眼を飛ばす。 「あの、ごめん遅くなって」 「えー、春奈ちゃん、おーそーいーっ。あたし、10秒以内って言ったのにぃー」 ニッコリと笑顔を作った。 タカシは守り体勢。ふざけろ。 「さっさと面かしな」  
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