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―――助けて、辛い、助けて。
そう小さく泣き叫ぶ声が聞こえたのが一瞬幻聴に思えた。
それほどに小さくそっと囁くような、虫の羽音のような声だったのだ。
「おいガキ。お前親はどうした」
ビクリと体を震わす目の前のガキ。
それが少しおかしく思えて、ガキの顔を見ようと目の前にしゃがんだ。
ガキは頑なに顔を見せようとせずに、まだ小さな手のひらで顔を覆う。
それに少し苛ついて、多少乱暴だと自分で思いながらもその手を無理矢理どかせた。
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