21―悲しいカップル―

3/3
1917人が本棚に入れています
本棚に追加
/178ページ
「それより真琴、あなた1人なの?」 「ううん。真君も一緒だょ」 しかし近くに姿が見当たらない。 「え?谷村君どこなの?」 「呼んでいいの?」 この質問は不自然なように感じたが、亜美は「うん」と返事した。 すると 「私もう少し亜美と話したかったな…」 また真琴は不自然な発言をした。 真琴が真二の名前を呼ぶと真琴のいた方から真二が出てきた。 亮也は真二の手に握られている物に気づいた。 「亜美!逃げて!」 「え?」 理由はすぐにわかった。 真二の手には銃が握られており、それをこっちに向けたのだ。 「早く!」 そう叫ぶ亮也に真二は容赦なく撃った。 亮也の背中に穴が開いた… 「亮也!!!」 「亜美、逃げろ!早く!!」 「わ、わかった!」 しかし逃げようとした亜美の足に真二は弾を撃った。 なんて命中力なんだろう… ふと見ると亮也の下には水溜りが出来ていて、亮也自身の目がうつろになっていた。 亜美は足を引きずりながら亮也の元へ行った。 「亮也死ぬなよ!笑えよ!目、閉じないで!!!」 亮也は返事をしない。 返事をしようとしても声が出ないようだ。 亜美にまた銃が向く。 亜美はとっさに亮也が持っていた麻酔銃を取り出し真二に向けて撃った。 「あ゛・・・・!」 真二の手のあたりに当たり、銃を落とした。 「亜美!あんた・・・・!」 真琴が亜美を殴ろうとしたが、亜美はそれを突き飛ばした。 「亮也、おきて!私まだ言ってないんだよ。  ずっと、言ってなかったことあるんだ!!!」 亮也は口をパクパクさせた。 それはもうスローとしか言えない速さで・・・ 「亮也、あのな・・・・・・」 乾いた音がした。 弾は亜美の右頭を飛ばしていた。 亮也はすでに目は見えなくて音だけが頼りだった。 亜美が何か言おうとした。 だけどその前に何か音がした・・・・・ 亜美…お前まさか・・・・ 「真琴、まだ手が痺れてるんだ。宇野は任せる」 真琴は頷くと人形を亮也の方へ近づけた。 「ごめんね。許さないよね?」 そう真琴は呟いた。 もう返事は返ってこない・・・・亮也は絶命していたから。 真琴は二人の手を繋がせて真二に麻酔銃を渡し、また歩き出した。 女子2番  榎   亜美 男子2番  宇野  亮也    ・・・・・・死亡 【残り21人】
/178ページ

最初のコメントを投稿しよう!