のこみ。

のこみの芸術

　
父　　｢ねえ｣
のこみ｢ん｣
父　　｢何書いてるの｣
のこみ｢絵｣
父　　｢宿題？｣
のこみ｢うん｣

父　　｢……眼球？｣
のこみ｢いいよね、新鮮で｣
父　　｢……あれ旨いのか？｣
のこみ｢お父さんの料理よりはね｣
父　　｢……｣
のこみ「冗談だよ」

父　　｢完成？｣
のこみ｢まだ｣
父　　｢悪趣味な絵だな｣
のこみ｢うるさい｣

─────　

父　　｢ねえ｣
のこみ｢ん｣
父　　｢それ何枚目｣
のこみ｢130｣

父　　｢もう飲まず食わず寝ず
　　　3日目だぞ｣
のこみ｢ありゃりゃ｣
父　　｢テーマはなんなんだ？｣
のこみ｢お父さんの笑顔｣
父　　｢なるほど｣

─────　

のこみ｢なんか不自然だよ｣
父　　｢じゃあこうか？｣
のこみ｢ぷっ｣
父　　｢こら、笑うな！｣
のこみ｢そう、今の顔だよ｣
父　　｢なるほど｣

のこみ｢完成｣
父　　｢おー｣
のこみ｢良い出来だ｣

父　　｢ねえ｣
のこみ｢ん？｣
父　　｢なんで俺血だらけなの？｣
のこみ｢あたしに殺されたから｣

父　　｢……なのに笑顔なんだ。｣
のこみ｢あたしに殺されたら、嬉しいだろう
　　　から｣
父　　｢でも俺がいなくなったら、誰がお前
　　　の飯作るんだよ｣
のこみ｢そっか｣

のこみ｢じゃあ仕方ないからまだ生かしとい　　　てあげるよ｣
父　　｢さんきゅー｣