第一話「サヨナラは言わない」

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目覚めた時は二時間後でした。ま、仮眠ですね。 で、ご飯食べて、また何しようかなーって考えてたんですけど、まぁ、ダラダラしててもしょうがないんで、外に出る事にしました。 今度は散歩じゃなくて調査ですね。メモやカメラなんか持っちゃって。「いざ行かん!」みたいなテンションで。 多分少し寝たからですかね、えらいヤル気になったりしちゃいまして。 ま、他にやる事もありませんしね。正直ミイラだらけの宇宙船に居るのも嫌な感じでしたし。 ホントこの状況に慣れるまで一週間くらいかかりましたもん。 いやね、このクルーのミイラをどこかに動かして隠しちゃえば良いとか思うかも知れませんが、死体を勝手に動かしたりしちゃ駄目なんですよ。 これ、宇宙船の規則とかじゃなくて、みゅいーん星のルールと言うか伝統…しきたり?掟?…まぁ、そんな事がありまして。 別に法律で決まったりはしてないんですけどね、神官以外が死体に触れると死者の魂が天国に行けないって言い伝えがありまして。 正直自分は天国やらはあまり信じて無いんですよ。 でもやっぱ小さい頃から散々教え込まれてましたし、自分が嫌だって理由だけで掟を破るのもねぇ… なにしろクルーの皆は知らないうちにミイラになっちゃった訳ですから。 ホントに天国なんて場所があるとしたら行ってもらいたいですしね。 信じる信じないは別にして自分の気持ちですね。だからミイラには動かすどころか触れる事もしませんでした。
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