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ギュイーンと鈍く重い音が会場を響かせる
ビリビリと頬を擦る感覚
ゾクゾクと背筋を駆け抜ける快感
俺の音楽魂を奮い立たせる
「ビート!!そこ、コード違う」
「いいんだよフォルテ、俺がよけりゃあな」
俺は気にすることなく、ギターの弦をがむしゃらに叩き続ける。
ヴォーカルのフォルテはそんな態度を取るビートに苛々しながらも、マイクを手に取り練習に入る。
「ファイン姉ちゃん、またビート兄とフォル兄喧嘩してるよ」
「そうね、まぁ…いつものことだからいいのよミュート」
「それもそだね」
観客席からその様子を眺めていた小学生ぐらいの男の子と高校生ぐらいの女性がまるで動物園を見ているかのようにして立っていた。
「もー、ビートも自分勝手なことしないで、フォルテも怒んないでよ」
「るっせぇ!スタッカー!!」
「怒ってない!」
二人を宥めようとしていたドラムのスタッカーだったが、逆に怒鳴られてしまい前髪によって隠れてしまっている目をみなくても、スタッカーがまいっている様子がわかった。
「もー…ダンテ、なんとかいってやってよ」
すると、スタッカーが奥でベースのチューニングをしていたダンテに助けた。
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