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「重いなあ…」
「何よ、もう!じゃ下ろしてよ!」
「嘘、嘘……沙希会いたかった。」
「和也君私も…」
「しかし重いなあ…」
「もう…」
和也君は私を下ろすと、私をきつく抱きすくめた。
「痛いよ…
「ごめん…」
しばらく二人そうしてた。お互いのぬくもりを確かめ合うように…
やがて帰る時間が近付く。「やべ、帰らないと!」
「うん。」
そのまま手をつないで、きた道を黙って歩いた。
短い時間の中で、私と和也君はお互いの心に触れた。その心を、お互いつなぎとめておきたくて、でも時間だけはどうにもならない。「沙希…」
沈黙を破ったのは、和也君だった。
「沙希、明日俺と一緒にすごさないか?」
「和也君?」
「おまえと一緒に居たいんだ。」
そして私の手をぎゅっと握り締めた。
「うん。」
私は返事をしてた。
私は和也君と居たかった…ただ一緒に居たかった…
「三田ちゃん、ごめん…」「うん、いいよ。」
「じゃあね。」
「うん、また明日な。」
そうして、私と三田ちゃんは、金魚すくいをあとにした。
「話ちゃんとした?」
……
黙ってると
「沙希ちゃん聞いてる?」私は、夢の世界をさまよっているような不思議な感覚にとらわれてた。
「三田ちゃんごめん。心配かけて…」
「ううん…沙希ちゃんは自分の気持ち隠すとこあるから…時には素直になっていいんだよ。沙希ちゃんをわかって貰うために…」
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