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ジリリリリリリッ
カチッ
けたたましい音とともに私は目を覚ました。昨日の夜更かしがたたってまだ眠い。それでも起きなければ、今日は待ちに待った。
かどうかはわかんないけど高校の入学式だ。私の新しい生活が始まろうとしている。
でも今はまだ眠いから、あと五分ベッドの中から出たくない。
あと五分‥‥‥‥。
母 「梨果、起きなさい」
頭上から怒声が降り注ぎ心臓がはね上がった。驚いて目を開けると、前にはお母さんが怒った顔で私を見ている。
梨果 「あ~、お母さん、おはよう」
私はなぜお母さんが怒っているのか分からなかったがとりあえず挨拶してみた。どうせ、またお父さんが何かやらかしたんだろうとしか思わなかった。
母 「おはようじゃないわよ 今、何時だと思ってんの。」
私は机の上に置いてある目覚まし時計に目をやると時計の針は登校時間終了まで残り一〇分前を指している。
梨果 「あっ やばい」
慌ててベッドから起き上がるとお母さんはすでに入学用スーツに身を包んでおり準備が出来ている様子。そんな母を追い出して、私は着替え始めた。あと五分と思って二度寝に入ったのがいけなかった。ついつい長く寝過ぎてしまった。
私の名前は佐々木 梨果(ササキ リカ)
今日から高校一年生、でもいきなり遅刻しそうになってる。
家から学校まで徒歩なら三〇分は掛かる。が幸い入学式なので家族と一緒に車で向かう予定、それでも一〇分前は厳しい、間に合うか?
私は慣れない制服への着替えを済ませて、ドタドタと階段を掛け降りた。朝食も食べずに家を飛び出し車に乗り込む。
入学初日に遅刻はまずい。車の中から外を見回したが登校している人は誰一人いない。新入生ならほとんどの人が家族と車で登校するだろうから、見当たらなくて当然かもしれないけれど、だとしても果して間に合うのか。
やっと学校が見えてきて時計を見ると残り2分前、何とか間に合った。先に私だけを校門付近に降ろして、母は駐車場代わりになっている運動場へ車を駐車しに行った。
私は駆ける。まだ教室に入ってないのだから本当の意味で間に合ってるわけではない。
校門の角を曲がってすぐ、身体に衝撃が来た。
ドスリと地面にお尻がつく。
梨果 「痛~い」
どうやら何かにぶつかったようだ。痛むお尻をさすりながら体勢を前屈みに変える。
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