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そこには容姿の整っている男女がいた。女はハープを持ち、男は透き通るような緑に輝く剣と盾を持っていた。格好からして、女はともかく、男は間違いなく騎士とかその辺だろう。
『無理だ、あれは壊れるまで続くだろう』
男は何となくダルクに似ていた。そのことからミリアはダルクに聞いた話を思い出した。
「その人ってもしかしてダルクの前世?そしてもう一人はセルヴィス!?え、な、何これ……生まれ変わりの筈なのに天と地の差ぐらいの綺麗さ……」
ミリアはずぅぅぅんって効果音がつきそうなくらい沈んでいた。そんな風にいじけていたら話が進み始めてしまった。
『私なら……この世界救えるんだよ?』
『やめろっ!!だってそれはつまり……お前の死じゃないか』
「!」
ミリアは目を見開いて驚いた。勘づいていたものと同じすぎて驚いた。
『でも……そうしなきゃ、皆全滅しちゃうもの。それに、一人の死だけで救えるならそれをやらなくてどうするの……。私と世界を天秤にかけちゃ駄目だよ』
セルヴィスは苦しそうに笑っていた。そして、ミリアはハッとなった。ダルクはこういう結果を望んでいないということを思い出した。そして今の状況とセルヴィスを比べてみた。事の発端は違うにしても同じことが起きようとしていることに気がついた。
「神龍がわざわざこのことを言ったということは……」
神龍がミリアを殺したいと思っていることに気がついた。
「普通にやり合うのでは勝敗が曖昧だからかな……」
それから話は進んでいって、セルヴィスが本棚をあさって調べているシーンに変わった。
『やっぱり見つからない……命を使わずに世界を救う方法』
本の山の中で一人項垂れていた。
『キーア……悲しむよね。私はそんな顔させたくないのに……』
セルヴィスの目に涙が溜まっているのが見えた。それを手で拭って読んでいた本をゆっくり閉じた。
『ねぇどうすれば良いのかな、私には分からないよ』
その時のセルヴィスの顔は絶望的だった。きっと自分もこんな思いをするのかと考えたらゾッとした。こういう状況に立たされたら相当辛いことが伝わってきた。
「もしかして、私にこれを見せたのは同じことを繰り返さないため……って都合良い解釈かな」
ミリアは自嘲気味に笑った。
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