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またシーンが変わっていた。夜空の下、二人が寄り添い合って話してるシーンだった。
『ねぇ、私分からないの。もう何が何だか分からないの』
『セルヴィス、お前が死んだら奴等のシナリオ通りになってしまう……。奴等はそれが真の歴史だと言った。だが、どうだろう?そしたら俺達はただの操り人形になってしまう』
セルヴィスはキーアに包まれながら涙を流した。その涙は神聖で哀しいものだった。
『俺はもう一度奴等の所に行く』
『駄目だよ!!それは絶対駄目!!私は……キーアにだけは笑って生きていて欲しいの。誰か別の人を愛してもいい。キーアの周りは優しい世界であって欲しいの。そして……欲を言えば私のことを覚えていて欲しいなだなん』
セルヴィスが全てを言い切る前に口を塞がれてしまった。熱を帯びた唇や視線に酔ってしまいそうなくらいの感覚だった。
『ばーか。まだ諦めるには早すぎるぜ』
キーアは笑いながら言った。そんなキーアを紅潮させながら見つめていた。
「何てシーンを見せるんだ……恥ずかしっ」
ミリアは唇を尖らせながら言った。そしてふとそんな束の間の幸せを噛み締めてる二人を見て悲しくなった。何故、こんな二人が引き裂かれることにならなきゃいけないのか。何て世界は残酷なんだろう、と改めて思ったのだった。
「でも結局セルヴィスは死んでしまうからどうにもならなかったってことになるよね」
ミリアはため息をついた。これは同じ過ちを繰り返さない為なのか、もしくは悪足掻きはやめろということなのだろうか。少なくとも、今の時点では見せられたことの意味が分からなかった。
そんなことを考えてたらまた話は進み始めた。
『やらないで後悔するくらいなら、やれるだけやってやりたいんだ。だからセルヴィスに止められても俺はやる』
『……分かった。でも約束してね。必ず生きて帰ると』
『あぁ、分かったよ』
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