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「その鳥……」
ルシフェルは鳥に近づいてじっと見ていた。
「お前はどの地獄だ?」
すると鳥は小さく鳴いてからポムッと煙を発生させたと思ったらそこには長身の男が立っていた。
「やはり闇の主は伊達じゃないな」
鳥だった長身の男はククッと笑った。
「俺はグリシス、五寒地獄、虎虎婆地獄の悪魔だ」
「五寒、結構下だな」
「そうでもねーよ」
グリシスは苦笑しながら言った。
「あの」
ミリアは気まずそうに言った。二人はミリアの方を見た。
「五寒地獄ってなに?」
二人は唖然とした顔をしていた。そしてルシフェルが苦笑しながら説明した。
「地獄って知ってるだろ?黄泉や冥界とはまた別世界だ。一番過酷な場所だ。地獄と言っても8大地獄と8寒地獄。下にいくっと言うより、数が大きくなると過酷さが増すんだ」
ミリアはウンウン頷いていた。何となく揺れているようにも見えるから分かったのか分かってないのかすら分からない状態だった。
「……分かってないだろ?」
「当然」
ミリアは真面目な顔で淡々と言ったため、ルシフェルとグリシスは力が抜けてしまった。
「とりあえず、まぁ、氷魔法のプロフェッショナルって感じだな。最下層は信じられない強さだがな」
ミリアはふーんっと言いながら頷いていた。今度は分かりやすかったのか、理解したようだった。
「それより、何でこんなところにいるんだ?」
ルシフェルは不思議そうに言ったらグリシスは苦い顔をした。
「歯車が動き出したんだよ、やっとな」
「「?」」
こればかりはルシフェルも不思議そうな顔をした。
そしてグリシスは笑いもしない無表情な顔で呟くように言った。
「神龍や、創造者が動きだしたんだ」
「え?」
ミリアはぽかんとなりながら聞いていた。
「白の創造者が死神と組んでいた。その光景を見たことがバレたためにこんなボロボロになっちまったんだ」
グリシスは怪我していた部分を自分で触ってみた。そして悲しそうな顔をした。
「狙いは時の魔術師、お前だ」
「へ?」
ミリアは一瞬状況を把握出来なかった。そしてルシフェルは眉間に皺を寄せていた。
「何が目的だ?」
「それは分からない。……が、時の魔術師が狙われてるのは事実」
ミリアは唇を噛み締めていた。そしてルシフェルはミリアの頭をそっと撫でた。
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