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凪が二人を城まで送るとミリアは空間移動で何処かへ行ってしまった。
「あれ?ミリア?」
「何か用事があったのか?」
凪は、紫永が心配だからと、急いで城に帰って行った。
「ミリア、どうしたんだ……?消えて戻ってきたと思ったらあの調子だ。神龍の所に行ったのは間違いないが、その時に何を言われたんだ?」
ルシフェルは腑に落ちないと言いたげな表情で考えこんでいた。それから、ミリアを探して、城中をくまなくさがすことにした。
一方ミリアは図書室で黙々と調べていた。
「んー……ないなぁ。これ、もしかしてルシフェルに直接資料の場所聞いた方が良かったかもなぁ」
ミリアはムスッとした顔で本とにらめっこしていた。
「でも内容が内容だと心配かけちゃうしなぁ……」
色々な本を片っ端から読んでみるものの、そういった資料は見つからなかった。
それから1時間、真っ白な表紙の本を見つけた。
『復元する世界』
「なんだろう、これ」
ミリアは読み進めるとどんどん本の中に吸い込まれるかのように本の世界に入って行ってしまった。
「って、えぇぇぇ!?ちょっと、何この光!!」
吸い込まれるように……ではなく、吸い込まれてしまった。
そして、その場に残ったのは真っ白い本だけだったが、真っ白い本すら消えてしまった。
その30分後ぐらいにルシフェルがここを訪れた。
「出しっぱなしの本……?ミリアがここにいたのは分かるが、肝心のミリアはどこだ?」
ルシフェルが不思議そうな顔をしながら捜していた。光景があまりにも不自然すぎて、納得が出来なかったのだ。
その頃ミリアは本の中に入っていて、本の歴史を見ていた。
「つまり私に復元した時の話を見させたいのね、この本は」
無駄な所は省きたいのか、無駄な所は凄い速さで過ぎていく。まるでビデオの早送りだ。
そして突然止まった。
『ねぇ、戦争は止められないの?』
綺麗なソプラノ声が聞こえてきた。それがつまり、ミリアの前世のセルヴィスだったのだ。
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