知香のどうでもいい話

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  「あは!ははっ……あははは! だ、だってあんまりにもくだんなっ……」 ヒーヒーと息を切らせた写宮は、言いながら目尻の涙をぬぐった。 「くだんないってなによ──!」 目をうるうるさせる知香は、彼に向かって力のかぎり吠える。 「私は楽しみにしてたの! すっごく、すっごく楽しみにしてたのに! このドラマを見るために、お風呂も 課題も お肌の手入れもすませて、ビデオまでセットして…… なのに、なのに! つけたらサスペンスドラマやってるもんだから、目が点になっちゃったよー!!」 「うわぁー!」と声を上げ、知香は大袈裟に泣きだした。 しかし、その姿さえ滑稽で、写宮と柳は再び笑いだしそうになる。 「さっ、桜井、桜井。大丈夫」 笑いを堪えて変な顔になった写宮が、ニヤニヤしながら知香に言った。 「…へぇ……?」  
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