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樹と看護婦さんは
リハビリへと向かった
一人病室に残り
樹が眠っていた間につけた
5年間の日記を見た
最初のうちは涙で滲んでいる
長かった…
この5年間…
あたしの心は
5年前の時から止まっている
樹に抱く恋心をそのまま
凍らした
今やっと溶け始めた
樹の熱が溶かしてくれている
この日記は
もういらないね…
樹の目覚めた日の次のページに記した
End
終わったんだ
樹のいない
つらいつらい
5年間が
最後のページも涙で濡れた
今まであたしの悲しみを受け止めてくれた
この日記
ありがとう
さようなら
ギュッと抱き締めた
「那波……??」
「あっ!!樹…帰って来たの??」
「何で…泣いてんだよ…」
樹は近くに来て
あたしを抱き締めてくれた
あったかい……
「そんなに泣くなよ…」
「樹大好き……もうどこにも行かないで…」
「ああ………どうしたんだよ急に」
「…樹がいない5年間を思い出したの」
「俺はここにいるよ」
「ん………」
「いつまでも一緒にいような」
「それって………」
樹は真っ赤な顔で窓の外へ目を向けた
「子供は4人は欲しいなぁ……」
あたしがボソッと呟いた
「じゃあ……」
樹がニヤッとした
「俺が治ったらいっぱいしような」
「バカ!!!!!!!」
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