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当たりは暗闇で何も見えない。暗闇が強く、目を開けているのか、閉じているのかさえわからない。
今わかるのは足元の水の感触。歩くと水の弾ける音がする。微かに鉄のような匂いもするような気がした。
手探りで歩みを進めるが、何もない。
ピチャピチャと水の音がするだけ。気がおかしくなりそうだ。
―灯りがほしい―
―もう嫌だ―
「いや…だ…」
意識が朦朧としてきた。立っているだけでも限界だった。
そのまま足の力が抜け、その場に崩れ落ちるように倒れた。
バシャっと水しぶきが顔に掛かった。
「ん? 水…じゃねえ。これは…」
突然暗闇が終わり灯りが差した。
「うっ、うわああああっ!?」
慌てて飛び起きた。
俺は血溜まりの中に立っていた。
何処を見渡しても赤一色。俺自身も赤に染まっていた。
「なんなんだよ!? 此処は…」
わけがわからず、その場に立ち尽くすしかなかった。
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