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思わず振り返ってしまった彰の目線の先には、自分へナイフを向けて来る翔の姿があった。
「ひっ!! がっ!…あ…あ…」
ナイフは綺麗に彰の心臓を貫いた。ナイフが引き抜かれると彰は胸を抑えながら崩れるように倒れた。
「情けだ。一発で逝けただろ」
ナイフを一振りし血を飛ばして鞘に収める。翔は彰の首に触れ脈の無いことを確かめた。そして、右耳に付けられたピアスを外した。
「ご苦労さん」
「…ご苦労さんじゃねえよ、隼人」
いつの間にか後ろの入り口に隼人が寄りかかっていた。翔はナイフとピアスをしまい隼人の方を向いた。
「仕方ないだろ。翔が全部忘れたから回り道したんだ。上手くいったから良かったがよ」
肩を竦めながら隼人は言った。
「たっく…弱ったフリは反則だぜ?」
呆れたように言う翔だった。それに対抗したのか隼人は、
「ハマったフリしてなきゃならなかったからな。第一、俺はサポート側だ。実行者じゃねえぞ」
手間を掛けさせたのはどっちだと言いたげに返した。
「あー、わかったよ。はめられた俺が悪かった」
翔は観念したように両手を上げた。
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