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-それと同じ頃-
この村の片隅に住む、女の子と幼馴染みの男の子が二人でお茶の時間を迎えていた。
「はい。今日はちょっと茶葉を変えてみたんだよね。」
男の子から差し出される白いソーサーカップを、すでに椅子に座っている女の子は、ありがと。と受け取る。
しかし、彼女はなかなかカップを口にしない。
ほのかに甘く香る湯気をぼんやりと眺めていた女の子。
突然、同じテーブルの向かい側でお茶をすすっている男の子に問いかけた。
「ねぇ~クック?なーんか珍しくて、美味ッッッしー料理はないわけ?美味ッしーの!!」
女の子からいきなりそんなことを聞かれた、クックと呼ばれた男の子。
彼は少し考えて、答える。
「そーだねぇ。…ていうか、いち料理人としては、君にいろんな料理を食べさせてきたつもりだけど?」
忘れたの?とでも言いたげな彼の返事に、彼女はカップの中身を一気に飲み干して答える。
「あ、このお茶美味し。何の茶葉なの?んじゃなくてッ!
だぁーかぁーらぁー!もっと違うのよ!」
「うーん…って言われてもね~。手に入る限りの食材はあらかた使ったしさ~。
…ぁ。モンスターなんてどうかな?」
クックは、閃いたとでもいうように人差し指を立てながら言った。
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