カエルの王様

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ゲコー  ……………? ゲッゲコー …… んーまぁぼちぼち              あーカエルテスッカエルテスッ みなさまゲコようございます。今日も一日舌を伸ばして蝿を捕まえましょう!              ゲコ・ゲコ・ゲコー!              この朝の朝礼放送で私の一日は始まる              なんともすかすがしいものだ、みんなに挨拶をして一日が始まるとは              …………といつも自分に言い聞かせてきて三十年、本当の気持ちなんて分からない、私には選択肢なんてなかったのだから… 前の国王を見て私は育ち いつかは自分があの立場になる事が決められて 自分の将来の姿を予想することすらできなかった この私に今更自分の気持ちなどあるはずもない ただあるものといえば 責任感と…カエル王という肩書きだけだ              自分の存在する意義を、三十年…三十年という月日のなかで何故一度も疑問に思はなかったのだろう              今の私の仕事なんて誰でもできる、いわばコンビニの店員の如くが立場…イャ…ポゼッションとも言うべきだろうか                 んー…むっむーんー このまま…このまま毎日…朝から蝿料理を食べ、沼を散歩し、たまに道端へ出て子供に「げっ蛙じゃん!石ぶつけろ」と言われて、夜に少し喉を鳴らして寝るという生活でいいのだろうか… このまま国王という名のコンビニ店員まま一生を終えていいのだろうか…              私は井のなかの蛙そのものである 大海を知らないものが人を導くことができるだろうか… もっと…もっと多くのことを知りたい…もっと…もっと多くの物に触れたい…              というか 刺激が欲しい    旅に出よう…              おやつは三百円迄にしよう…              雨になるように逆てるてる坊主を作ろう…                  「知らないことは恥じゃない 知らないことを知ったように振る舞うことが恥ずかしいことなんだから」 BY 蛙の王様
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