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ネイビルは先ほど出した書類にもう一度目を通した。
「カイト・ランペン、ランペン家の優秀な跡継ぎですか」
ランペンと言えば魔術師界では知らない者はいないくらい、古くからある由緒正しき家だ。どの時代にもランペン家には優秀な魔術師ばかりがいた。
だが、カイトは優秀であるようだが他の者とは違うようだった。
「フィルオーナ・ランペンが嘆くはずだ」
彼の母親もまた優秀で社交的な魔術師だ。
書類に書いてあったのは彼のことだった。
成績も潜在能力も素晴らしい、しかし彼は人と全く関わろうとしない。
友人もいなく、常に一人だ。
ここが彼の両親や親族が心配する問題点であった。いずれは一族をまとめ上げる地位までに昇り詰めるであろう彼が、このままでは先行き不安なのだ。
「だからと言って、私に押し付けるのもどうかと思いますよ」
彼らがどうにかしてくれるのではないか、そんな期待があった。
だから彼らの元に行かせた。
「何とかなるでしょう、きっと」
ネイビルは見ていた書類を、沢山積み重なっている紙の山の一番上に置くと、先ほどまで読んでいた本をまた読み始めた。
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