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現在、朝霧さんの回りの地面だけか円状に残っている。           エンチュウ 分かりやすく言えば、円柱の形の足場があり、その上に朝霧さんがいる……そんな感じだ。 上から見たなら、この場所は逆ドーナツの形だろう。 ――この状況は、とてもドーナツなんて可愛い物ではないのだが……。 私は朝霧さんの様子を確認した。 「……くっ…ぐぐっ…」 朝霧さんは反対側の地面の切端に足を引っ掛け、踏ん張っている状態だ。 ……長袖の服の袖から、彼の腕が少し見えている。 血管が物凄く浮き出ていた……。 「…ぐぐっ…ハア…ハア… ………っ……」 息が切れ始めている。 「……朝霧さん…もういいです。 手を離して下さい」 私のために、苦しそうにもがいている彼を見るのが辛かった。 彼は息を切らしながら、首を小さく横へ振った。 「……い…やだ…絶対…に……」 そう呟くと、朝霧さんは私を引き上げようと、更にグッと込めてくる。
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