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名門・グラリイス伯爵家。 代々紡がれてきた赤い一房の髪。 その髪は、一族の正しい後継者にのみ現れるとされた。 美しい金の髪の中、たった一筋だけある赤い髪。 その髪は、一族にとって重要な物だった。 「ロレン様!どうなさるのですか!」 「ロレン様!先に生まれたとは言え、アチラは…」 薄暗い会議室で座をなし、騒ぎ立てる大人たちに、囲まれていたのはまだ幼い兄妹。 片方は、大きなエメラルドが填められた人形にも見える美少年。 片方は、呼吸器をつけられ細い手足には管をつけられた少女。 全く似ていない、寧ろ正反対だろう子供たちは、これまた似ていない母に抱かれて怯えていた。 まだ、何も分からないような年頃で、ただ周りの大人の余りの剣幕に怯え、母親に縋る兄と呼吸器などの大量の管を細い体に貫通させた妹が、座の中央におかれた。 そして、二人の前髪には…赤い髪があった。
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