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「何って見ての通り釣りだよ太郎君♪」
「でも釣りって普通海の中じゃやらないんじゃ……」
「そんなの誰が決めたの?あっ!来た来たぁ―――!!」
どうやら木実の竿に魚が食い付いたようだ。
「ぐぐっ!これは大物よ!!」
太郎はただただ呆れて木実を見ていた。一方次郎はサザエの入った網を振り回して木実を応援している。
「おりやぁぁぁぁ!!!」
木実は力一杯竿を引いた。
ザバアァァァン!!!
なんと立派なマグロが海面から飛び出した!
「すっごーい♪」
「のわぁぁぁぁ!!!」
「うわぁぁぁぁ!!!」
太郎と次郎の叫びを聞いて、力蔵はやっと平クロールをやめた。
「どうした2人共!?」
「秋野がマグロ釣ったんだ!!」
しかし、当然ながら女性の力でマグロが釣れる訳がなく、すぐさまマグロが反撃に出た。
「キャ―――!!!」
木実は凄い勢いでマグロに浮き輪ごと引っ張られた。
「木実ちゃん!!竿を離すんだ!!」
「駄目よ太郎君!こんな大物逃がしてたまるもんですか!!」
「そんな事言ってる場合じゃないでしょ!?」
「嫌よ!私の『死ぬほどトロを食べる』って夢が今、目の前にあるのに!」
そう言いながら、木実は海の彼方へと消えて行った。
太郎はすぐさまクロールでマグロに連れ去られる木実の後を追い掛けた。
「俺も行くぞ太郎!」
太郎に続き、次郎も持っていたサザエの網を腰にくくりつけてから追い掛けた。
「よっしゃ!俺も行く!」
そう言って力蔵も平クロールて後に続いたが、どんどん引き離されるのが目に見えてわかったので途中で普通のクロールに切り換えた。
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