第二話~十六夜の月夜~

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「--月は浮雲に姿を隠し・・・。」 「あれ。・・・ここは・・・どこだ?」 声が聞こえたかと思うと、景色が変わっていた。 和風の部屋・・・。 明かりがなく薄暗いのだが雲に隠れた月の光が入って、ある程度は見えた。 辺りを見渡していると、栞に声がかけられた。 「人の姿を取って降りたのですか?光と共に参られた・・・十六夜の姫君。」 人が・・・いたのか・・・。 誰だ・・・? ここは、どこだ? こんな所見たことない。 急の事に頭がついていかない・・・。 「春の夜の朧月夜にしく物ぞなき・・・か。」 詩? それに・・・この建物・・・。 「私も・・・宴に飽いていたところです。この桜を共に楽しませていただけますか?」 声をした方をじっくりと見るが、顔まではっきり見えない。 でも、男の人は、国語の古文の平家物語の挿絵に出てくる貴族の男の人のような着物を着ていた。
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