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「幸い未遂に終わったけど、叩かれた頬が腫れ上がってて、2~3日は引かないと思う」
『わかりました…。迎えに行きます…』
鷹也の声は微かに震えていた。
少なくとも鈴歌が酷い目に遭わされた原因は、自分にもあるのだから…。
木通は電話を切って、四人で鈴歌の元へ戻った。
スタッフルームの前に立つと、木通はついていてくれた店員を呼び、真春だけを中に入らせた。
鈴歌は真っ青な顔に、まだ赤いままの頬を冷やしていた。
真春は苦痛に満ちた顔で、鈴歌の頬にソッと触れようとした時だった。
「ごめんなさい…」
鈴歌は伏せたままのその目から、ポロポロと涙をこぼしながら言った。
真春は何も言えずに、どんな言葉をかけたらいいのかわからなかった。
「ごめんなさい…ごめんなさ…」
未遂とはいえ、酷い目にあって痛々しく頬を腫らしながら、懸命に謝る鈴歌を出来る事なら抱き締めてやりたかった。
「ハルさんの好きな人、お兄ちゃんが取ってごめんなさい…」
真春はまさか鈴歌がその事で謝っているとは思わなかった。
真春がその事で何か言おうとした時、部屋のドアが勢いよく開いた。
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