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まるで吸い込まれるように、ずっと空き家になっていたあたしの隣の家に入っていった不審者を、あたしはこう呼んだ。
「幽霊……?」
失礼きわまりないが、なんだか不気味だったからだ。
家族らしき人たちに囲まれて、隠れるように歩行していたその人を、あたしは妙に気にした。
当然、恋とかじゃない。
ありえない。
確かに、見た限りは背も高かったし、肩とかも男の子っぽかったけど、あれはない。
「いくら背が高くたって、あんな恰好してる人が美形なはずないしねぇ……」
自嘲した笑顔で、あたしはずっと窓の外から顔を出していた。
「アキー! お隣さんが越してきたみたいだから、ご挨拶に行ってらっしゃい!」
……チャンス。
おもしろそうだと思ったのは、オカルト好きの血が騒いだからだと思う。
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