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キスっていうのはもっと甘く優しいものだと思っていた
彼の口づけはキスというより喰われるという感覚に近いと思う
私はいつもときめきではなく喰われてしまうのではないかと胸をどきどきさせているのだ
貪る様な優しさがちっとも見えないキス
だけどそれとは対照的に優しい声で私の名前を呼ぶのだ
――珠紀
耳元で小さく囁くその声は
まるで一種の麻薬のようで
私を彼から離れられないようにしてしまう
頭がくらくらする
重ねられた掌が熱く
もう何も考えられない
あとは喰われるのを待つばかり
嗚呼
あなたになら喰われてもいいと思うのです
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