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わざわざ自分から挑発するって……。
男らしいっちゃ男らしいけどね。
「まぁな…」
一輝は小さく微笑む。
「いつもあんな風に喧嘩ふっかけるの?」
俺は疑問に思ったことを聞いてみた。
「いや…無駄な争いは好きじゃないから」
一輝はまた涼しい顔に戻る。
「じゃああれはどうして喧嘩なんかふっかけたの?」
また疑問に思ったことを聞いてみた。
「痛そうだったから…腕」
一輝は前を見ながら言う。
腕?
……。
もしかして男に掴まれてた俺の腕のため?
「私のため…?」
俺は一瞬、胸がドキッとした。
「まぁ…すぐ折れちまいそうな細い腕だし…ドラム叩けなくなったら大変だろ?俺達のバンドの大事なドラマーだから…」
俺は一輝のその言葉に感激寸前だった。
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