学園

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僕は重い足取りで前に出る。 振り返るとクラス全員の視線が集まっている。 一気に体が強張り心拍数がはねあがる。 僕はこういう風に人前に立って話をしたりするのは得意じゃない。そのうえ先頭打者とくれば尚更だ。 一瞬、緊張で硬直状態になってしまいそうだったが半ば無理矢理に言葉を発した。 「僕の名前は────」 結論から言うととても普通の自己紹介だった。 いきなり何かを踏み外すようなことはしたくないし度胸もない。 だから普通に終わることができて安堵のため息が洩れた。 続く人も似たような普通の自己紹介。 違ったと言えば天なんとか君が「このクラスは可愛い人が多くて嬉しい♪」と言って侮蔑の視線を受けていたことか。 その時、良麿がとても楽しそうに見えた。 あと恋音が『霧柴恋音。よろしく』と書いたスケッチブックを見せて八秒ほどの自己紹介をしていた。 他にも何人か印象に残る人もいたが今は語る必要もあるまい。 「よし、全員終わったな」 教室の後ろを陣取っていた雪路先生がクラス名簿を見ながら呟いた。 戻りつつあった教室の雰囲気が一瞬でピシャッと引き締まったような気がした。
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