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谷の岩間の紅雀
空に名のるは沼雲雀
蜂の訪ふ釣鐘草
君を埋めし地を覆ふ
野鹿は草食む君の胸
野鳥は雛を抱くなる
君が笑まひを胸に秘め
しじまに君を置き去りぬ
小暗き墓の底ふかく
君が姿を埋めしとき
人は嘆きぬふたたびは
喜び胸に燃ゆまじと
人は思ひぬ悲しみの
潮の絶ゆる日あらじと
さあれ彼らの苦しみは
涙はいまやいづくにか
人よ誉を追はば追へ
喜びの蔭も求むべし
黄泉路の國に棲むものは
變りぬ 心は動かさず
人のまなこの寝もやらず
悲しみ涸れよと泣くとても
君は靜けき眠りより
吐息をかへしたまふまじ
吹けよ西風塚の邊に
ささめき行けよ夏の川
ほかに響のなくてこそ
君が夢路を慰むと
エミリー・ブロンテ
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