◎巻 頭 句

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      谷の岩間の紅雀 空に名のるは沼雲雀 蜂の訪ふ釣鐘草 君を埋めし地を覆ふ  野鹿は草食む君の胸 野鳥は雛を抱くなる 君が笑まひを胸に秘め しじまに君を置き去りぬ 小暗き墓の底ふかく 君が姿を埋めしとき 人は嘆きぬふたたびは 喜び胸に燃ゆまじと 人は思ひぬ悲しみの 潮の絶ゆる日あらじと さあれ彼らの苦しみは 涙はいまやいづくにか   人よ誉を追はば追へ 喜びの蔭も求むべし 黄泉路の國に棲むものは 變りぬ 心は動かさず   人のまなこの寝もやらず 悲しみ涸れよと泣くとても 君は靜けき眠りより 吐息をかへしたまふまじ     吹けよ西風塚の邊に ささめき行けよ夏の川 ほかに響のなくてこそ 君が夢路を慰むと        エミリー・ブロンテ
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