3074人が本棚に入れています
本棚に追加
/305ページ
目的を果たした刺客は一目散に引き上げ始めた。
雪の為、護衛のお供は刀に防水用の袋を被せていたことも反撃を遅らせた。
稲田に一斉にお供の攻撃が始まる。
稲田は切り刻まれ絶命した。
首を捕った有村も重傷を負いその場で自害した。
結局18人中、5人が死に、13人が逃げ通せた。
幕府は首を奪い返し、井伊直弼の死を徹底的に隠した。
この事件を境に、幕末は維新へと動き出して行くのである。
直人は桜田門外の変を自分の城で聞いた。
江戸は大変な騒ぎだったが、直人はサナエと新撰組のビデオを見てのんびりしていた。
31才になった直人には、サナエとの間に長男の『祐樹』と長女の『ウメノ』ができていた。
これから始まる維新の戦いに参加する為に来た直人も、家族で仲良く過ごすうちに、このままのんびり幸せを楽しみたいなと思うことが多くなっていた。
しかし、直人からの号令を受けた公兵を始めとする家臣たちは、その日に備え厳しい稽古をし、いよいよだといきり立っていた。
直人は重い腰を上げ、薩摩に向け車を走らせた。
滋賀から鹿児島までの長い道のりだった。
もちろん石鯛竿は積んでいた。
最初のコメントを投稿しよう!