3479人が本棚に入れています
本棚に追加
/383ページ
コンビニ近くになると、人の姿が増えてくる。多分、花見に来て飲み物とか食い物とかを買い足しに来てんだろうねー。今日はこの店、大繁盛だな。よかったな、店長!誰か知らねーけど!
辺りを見渡しながら隣にいる千秋に視線を移して、声をかけた。
「美月さんがおつりで好きなもん買っていいって言ってたし、みんなで食えそーなお菓子でも買おっかー。千秋、なんか食いたいのある?」
「甘いの」
「範囲が広い! ほら、チョコとかさ、飴とかそんな感じでもっとピンポイントで言えって!」
「じゃあ、チョコ」
あと、クッキーみたいなのがいいって言った千秋に、リョーカイと笑って返事をする。
頼まれたのってコーヒーとガムだけだし、おつり結構出るよなー。
普段は買わねーちょっと高めなヤツを買うべきか、安めのヤツを買って、多めに残して美月さんに返すべきかー……うーん、悩むところです!
そうやって、なんとなーく話をしながらコンビニへと足を進める。
自動ドアの上のとこに、ヤマサキ春のパン祭り!なんて感じのポスターが貼ってあんのが見えた。ポイント貯めたら今流行りのエコバック貰えんだってさ。
お袋がこういうの集めんの好きでさ、やったらこういうグッズが俺んちに溢れてんの。主婦ってあーいうの好きだよねー。千秋もいつか奥さんになったら集めんの好きになんのかなー。え?誰の奥さんだって?そりゃもちろん決まってるでしょ!なーんちゃって!
そうやって、パン会社のポスター1つで、しょーもねえことを考えながら、足を一歩踏み出すと、ウィーンっと自動ドアが開いた。
さーて、何買おうかなあーなんて考えながら視線を上げる。そして、目の前に広がった光景に思わず足を止めてしまった。
え、えええ……うそん。どんな偶然だよ。
隣にいた千秋も大きな目をさらに大きくさせて、立ち止まっていた。
「千秋……」
「……お兄ちゃん」
そこには、両手にビニール袋を抱えて、驚いた顔をしている夏生さん。
夏生さんの後ろには、この前、ファミレスで見た淳平って呼ばれてた人が立っていた。
か、考えていたことが考えていたことだけに、内心、ぎゃああ!!って叫びたいくらいビックリしちゃいました。お、俺の心読まれてねえよな!?
最初のコメントを投稿しよう!