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「沙紀。私たちクラス離れちゃったね。」
彼女は何よりも友を大切にしていた。
「香織大丈夫だよ。私たちはずっと友達だから。クラス離れても変わらないよ。」
友達は誰にもとられたくないというのが本心だと思う。嫉妬にも似た感情さえ生まれる。
「そうだよね。」
彼女は一度は頷いたがきっと不安は去ってはいないだろう。
彼女にとっての不安は『友達ではなくなる』ということではなく、同じクラスにいて、同じ授業を受け、同じ時間を共有する事ができなくなるということだ。
授業中に話したり。手紙を交換したり。休み時間に話したり。一緒にご飯を食べたり。一緒に帰ったり。それこそが彼女にとっての確な友情。
「香織、一緒に帰ろう。帰りプリクラとらない?とろうよ。」
「沙紀。…うん。とろう。」
「今日は変顔ね。」
「また?前もとったじゃん。別にいいけどさ。」
一緒にいる時間は確かに減ってしまうかもしれない。しかし友情に大切なのは一緒にいる時間ではない。
大切なのは。
「香織のクラスどう?うちのクラス最悪。まぢやだ。香織がいてくれればな。」
今そこにいる友を信じること。
そして、自分自身も相手からしたら大切な友だということを忘れないこと。
最後に大切なこと。それは。
「うちのクラスも最悪。沙紀がいてくれればな。なんてね。」
友と共に笑うこと。
~END~
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