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「遅いぞ、ハゲ」
「‥全国のハゲの皆さんに直ちに謝れ、この阿呆」
ライヴハウスの楽屋の扉を開けた瞬間に飛ばされた罵声に深い溜め息を吐く。まったく誰に似たんだ‥あ、俺か。
扉の前には緑色の髪を尻尾みたいに襟足を伸ばした、美少年と呼ぶに相応しい朔夜がいた。相変わらず愛らしいのだがこの性格は如何なものか‥
「まぁ確かになァ。遅刻はダメだぜ?ひーちゃん」
俺が朔夜に良からぬ思いを呟いていたら耳に届いた声。その元の方へ目線を泳がせれば、それ映ったのはニヤニヤと笑みを浮かべている茶色の髪を後ろに流して大人の雰囲気を醸し出しているタレ目で長身の良いオトコ
「‥龍騎か。はぁ‥悪かったって、マジで」
「口調が軽い。悪いだなんて思ってないくせにぬけぬけと。良く回る口だな」
龍騎と呼んだ男に苦笑しながら謝罪を述べていたら冷ややかな美声がまたもや俺を罵った。
「ちくしょう、みんなして言いたいこと言いやがって。第一良く回るのは俺じゃなくお前だと思うぜ、海都」
右手を挙げ前髪を掻き揚げながらそう言い放てば、目線を龍騎から美声の持ち主へ。ソコには黒髪のウルフに冷ややかな目元がクールな海都が腕を組ながら此方を見ていた
龍騎は苦笑しながらまぁまぁと海都を宥めている。
毎度思うがコイツがヴォーカルやった方が売れるんじゃないだろうか?
それ程までに海都のヴィジュアル、声は素晴らしいモノなのだ。ベースだなんて勿体無い
軽いジェラシーを感じるぜ、まったく
なんて口に出したらまた罵声の嵐になるので言わないが。
因みに余談だが海都は龍騎に甘く、龍騎が言った事や何やらは忠実に聞く。
今だってホラ、ふんと小さく鼻を鳴らして口を閉ざしたから。
少しは龍騎に感謝だなァ
「本当にごめんってば!!!最近夢見悪くてよ」
ははっと苦笑しながらそう謝罪をもう一度言うと先程までプリプリと怒っていた朔夜が心配気な顔になった。実はブラコンなのだ、コイツ
「こないだ言ってた夢?まだ見てんのか?」
俺の服の裾を掴みながら平気かと問う朔夜を見て安心させるように笑みを浮かべた。手を朔夜の頭に乗せることを忘れずに
「大丈夫だ。たかが夢だからな」
「相変わらず仲の良いこった。さぁてお二人さん、邪魔して悪いが時間だぜ?あ、言い忘れてたがhappy birthday 朔日」
苦笑を乗せて龍騎が時計を顎で指す。流暢な発音をありがとう
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