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思考している間に距離がもう間近に迫った。
霞んで見えるは赤。
赤髪の長身の男を先頭に後ろに4頭の馬が続く。
真ん中の一頭を囲むように走っている。
バカラッ、バカラッ、!
すれ違う瞬間先頭リーダーと思われる男と目が合った。
バカラッ!
額から右頬に掛けて一閃の傷跡。鋭い目。口元の無精髭。頑丈そうな肩。ボサボサの赤髪。
触ったら怪我をしそうな危なげな雰囲気を持った。男。
バカラッ、バカラッ、バカラッ…
…。
▼
真ん中の奴は人一人なら容易く入りそうな袋を背負っていた…
「カシオス…。」
エメラルドグリーンの鳥はいつのまにか彼の隣を滑空してこちらを見つめている。
デルスの灰色の瞳と全てを見透かしているような円らな黒い瞳は互いの視線を混じ合わせる。
…
のも、数秒。
カシオスは先程よりも遥か上空へ羽ばたいた。
一連の動作を見届けたもう一つの黒い瞳は申し合わせたように早駆けを疾走に上げ、彼らの距離をあけていった。
デルスとヨクラシムは一路レイヴン邸へ。
カシオスは赤髪の一団の行方を。
運命は紡がれる。織られ組み組まれる運命。
織り手は技巧を尽くし、強き銀と控えめな橙を加えるべく糸を手繰り寄せた。
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