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事務に回って。
しばらく経った。
茜が退院したと聞いてあいつの家に見舞いに行ったが…避けられているのか。
会えなかった。
病院からの帰り道。
今、目の前には女子高生。
楽しそうに話している。
「あれって~の」
「え~マジィ?」
やべぇ…苦手なんだよ。
女女してる奴。
逃げよ。
走って逃げると女子高生はなんか叫んでた。
あ~。
よく逃げ切った。
でたらめに走ったせいで道に迷った…汗
何処だよ。ここ。
「……どうかされましたか?」
いきなり後ろから声が聞こえて驚いて振り向いた。
見ると、優しそうな女性。
「あ…いや、道に迷っちゃって」
「あら、困りましたね。駅までなら案内できますよ?案内しましょうか」
優しい人だ。
お言葉に甘えて駅まで案内してもらうことにした。
彼女の名前は七瀬さん。
七瀬愛さん。
駅に行くまで色々と話をした。
知り合いの女の子の見舞いにいったら会えなかった。
会いたいのにというと彼女はけらけらと笑った。
「彼女も貴方のことが好きなのよ。久御山君」
「え?」
「あ、駅に着いたわよ。じゃあね。……久御山亮佑君」
七瀬さんが呟き行ってしまった。
名前…俺教えてないよな…。
「七瀬~っ」
聞き覚えのある声がして、後ろを見ると茜がいた。
七瀬さんに抱き着いている。
茜。
「茜!」
思わず、叫んだ。
茜が目を丸くしてる。
「久御山君。久しぶり」
……変な違和感。
なんか、壁がある。
見えないそいつはかなり分厚い。
「大丈夫か?」
「うん」
「あぁ~亮佑~」
後ろから抱き着かれて身構える。
「…美紀さん」
茜が呟いた。
美紀?
見ると…ふったのに本命の彼女だと茜に言って傷つけた奴だった。
「じゃ、久御山さん」
茜は美紀って奴から逃げるように何処かに行ってしまった。
足を引きずりながら。
「……足折っておけばよかった」
美紀の言葉に鳥肌が立った。
今、何て言った?
足を折っておけばよかった?
「ねぇ~ホテル行かない?」
美紀の声なんか聞かない。
走って、走った。
巻いた時、吐き気がした。
道で吐いた。
胃液しか出なくても吐き続けた。
「おい。田中美紀って奴を知らないか」
肩を叩かれ、聞かれた。
「知りません…」
「そうか。なら、この女を知らないか」
見せられた写真は茜が写っていた。
「あ…かね?」
「姫を知っているのか!どこにいる!」
「いや…わからない。人は…知ってるけど」
「そうか…」
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