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人により、薄荷は好き嫌いが激しいだろ。
オレは…結構好きなんだけどな。薄荷…ミント。
甘い癖に…冷たくて。
爽やかに、残る。
出会いは…何でもない…平日。
君は目を丸くして赤くなってたっけ。
目の前にいる少女は女らしくないし、男らしくもない中途半端な子だ。
女の子が余り得意じゃないからその方が有り難いけど。
「でな、亮佑。こいつが茜。茜、こいつが久御山」
「くみやま君。始めまして」
「始めまして。茜」
真っ赤なんですな。なんなんだ、こいつ。赤面症か?
はじめての出会いは突然。ドラマよりも在り来りな出会いだった。
「亮佑~~~~~っっっ」
やべぇ…。ついうっかりだった。
休憩が被っちまった。
オレ達は、無差別職だ。なんでも受け持つ、何でも屋…だ。
インチキ臭いことから、真面目な事までやる。
俺は今日珍しく、事務所で作業だった。
帰って来た茜がやけにキラキラした顔で叫んでいる。
「なんだよ。ハム」
「んがっ!ハムって俺が太いって言いたいの?」
「いや、ハムスターっぽい」
「んなぁっ!こんにゃろぉぉっ!」
ポカポカ叩くけど、ごめん。痛くない。寧ろくすぐったいんですよね。
「茜、またやってんのか」
「…春…」
一瞬、顔が曇った。
アレ、どうしたんだ?
春とは仲いいんだろ?
「あーちゃーん。かーえろ」
「うーい」
タイミングがいいのか、友達が茜に叫ぶ。
オレは嬉しかった。茜はちょっと苦手だ。
顔に出てたんだろうか。
茜は一瞬悲しそうな顔をして友達と帰って行った。
「そう言えば、お前のバンド…ギター決まったのか?」
春に聞かれて驚きながら言う。
「ん?いや、決まってないけど…春、やるか?」
「いや、俺はドラムだから。茜に男装させてやれば?」
「…茜?」
何で茜ですか。ムシロ、女は入れません。春なら別だけど。春なら女らしくないし、何せ…好きだから?
好きな奴とはいつも側にいたいだろ?
まぁ、なんやかんやで春も帰っていって。
その日は普通に終わったんだ。
いつも通り。
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