【番外編④】  衝動

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どれだけの時間が経ったんだろう…。 懐中時計を部屋に置いてきてしまったから、時間が分からない。 俺はリアナに手を握られたまま、動けずにいた。 「ったく…。」 流石に座りっぱなしも疲れるから、俺はベッドの空いたスペースに寝転んだ。 横になると、リアナの顔が間近に見える。 こう見ると、リアナが もっと愛しく感じる。 俺は空いた手で、リアナの顔に掛かる髪に触れた。 リアナ自身も お気に入りの髪は猫の様にサラサラで、指に巻き付けても すぐに流れる様にほどけていく。 「リアナ…。」 俺はリアナを そっと抱き寄せた。 髪の匂いも、柔らかい肌も、そしてリアナ自身も、俺にとっては愛しい存在だ。 だが、ずっと このままで寝てたらリアナが起きた時に絶対に雷が落ちるだろう。 俺は一度 起き上がり、リアナの手を離そうとする。 「うーん…。」 その時、リアナが寝返って仰向けになった。 すると、ネグリジェに隠れていた首筋が露になり、俺の中の何かが激しく脈打った。 ドクン…! マズイ。 今日は満月でもないのに、本能の血がざわめきだした。 俺は本能を抑えようと、リアナから目を背ける。 だが欲情は衰えず、俺は何度もリアナに目を向ける。 そして。 本能に負けた俺は、獣の様にリアナに覆い被さった。
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