クローム研究施設制圧

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俺は一気にブースターを全開にし、彼我の距離を詰める。予想通り、眼前のブラストバレルからミサイルが"一発"飛んできた。 ……一発?おかしい、奴の肩装備はどう見ても《WM―S40/2》。小型ミサイルを2連発射出来る武器だ。ロックに必要な時間は十分あった筈だが、まさかFCSの選択ミスか?成る程…やはり下位か。 俺はコア前部の迎撃機銃がミサイルを撃ち落としたのを確認すると、ブースターの向きを変え左にスライドした。 そろそろプラズマ・キャノンの有効射程内だ。俺はパイカルを砂丘に隠す。だが、いつまでも隠れていては勝負は着かない。かといって迂濶に飛び出せばプラズマで焼き尽くされるだろう。 …仕方無い、ここは力を使うしかないか。俺はパイカルの背中でグレーに鈍く輝く巨大な砲身を伸ばし、砂丘に向けトリガーを引いた。 直後、砂丘が大爆発を起こし吹き飛ぶ。グレネード・ランチャーがその威力を見せ付けた瞬間だ。俺は直ちに視界に映ったブラストバレル目掛け、ブーストダッシュを開始する。 奴は恐らく慌てているだろう。だがそれはこちらにとって好機だ。ブースターの出力を更に上げ、標的に左から回り込む。すると、奴は漸く自慢のプラズマ・キャノンを発射してきた。両腕にあたる砲身から黄色の光(視認しやすいようFCSが着色したものだが)が伸び、パイカルの右肩を掠め、僅かに焦がす。 しかしその攻撃は2連射だけで終わった。これがプラズマ・キャノン《AW―XC65》の欠点だ。威力、連射力共に優秀だがエネルギーの消費が著しく、並のジェネレータでは直ぐにガス欠になってしまう。しかもジェネレータの電力はブースターの使用にも必要となる。 つまり、奴は攻撃と移動の両方の手段を失った事になる。俺はパイカルの左腕に装備されたレーザー・ブレード《LS―99―MOONLIGHT》の発振器を作動させ、青色の刀身を形成する。俺は意識を集中し、パイカルの左腕を振り抜かせた。 すると、刀身部から三日月状の閃光が発せられ、ブラストバレルに食らい付いた。それは一瞬でACの強靭な装甲を貫き、ジェネレータに到達して爆散させた。一瞬悲鳴か何かが聞こえたような気がしないでも無いが、まあ関係無い事だ。 で、今俺がやった事だが、これは俗に《光波》と呼ばれる攻撃方法だ。原理を細かく説明する暇はないが、簡単に言えば、レーザー・ブレードのエネルギーをライフルのように撃ち出す物だ。
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